休眠会社を使った起業は得か損か
新規に会社を設立するのと、知り合いや自分が過去に設立した休眠会社を再利用するのとどちらがいいかと聞かれたら、余程の特殊事情がない限りは、私ならば絶対に新規に会社を設立するべきだと答えます。
新会社法が施行されるまでは確認会社で嫌なら、普通は有限会社でも300万円の資本金を用意しなければなりませんでした。しかし今は別に資本金数万円でもOKですから、ハードルもそれほど違わないので新しく設立した方が無難なのです。
さて、現在全く動いていない会社を休眠会社といいますが、これを使う場合には、その会社の商号や本店所在地、役員等々を全て変更して自分の会社とすることになります。そしてここで注意しなければならないのは、その会社の過去をリセットすることはできないということです。会社の名前を変えようが、役員を総入替しようが、会社自体は継続しているからです。
だから休眠会社の引継ぎで一番問題となるのは、その会社に他に知らない負債がないかどうかということです。引き継いで事業が動き出してから、知らない相手から借金の請求書が来たりすることもないとは限らないからです。だいたい会社が休眠するのは事業がうまくいかなくなったからであることが多いわけです。もし引き継ぐのであれば、過去の決算書や帳簿等で最低でも税金や社会保険料などの滞納がないかどうかくらいは確認しなければいけません。
次に問題となるのは、休眠会社の場合、負債がなかったとしても、多分間違いなく資産もないということです。どういうことかというと、仮に資本金500万円の会社であれば、純資産と未処理損失の合計が500万円なければならないのです。資本金500万円は資産として残っているか、過去の赤字となってなくなったかそのどちらかしかあり得ないからです。自分で実際に資産を会社に入れて帳尻帳尻を合わせることができないならば、社長貸付500万円か根拠なく未処理損失500万円からスタートするしか手はありません。
また、その会社の全ての数字を引き継いで、これから自分が帳簿付けをし、決算書を作るということを忘れないようにしてほしいと思います。会社は継続しているのですから、仮に過去3年間決算をしていない会社だとすれば、多分どういう形かは別にして本来なら、遡って全ての年度の決算を提出しなければならないでしょう。
このようなことがあるので、休眠会社を使う場合には、通常引き継いでから5年間くらいは金融機関からの借入は困難だと思ったほうがよいと思います。
付け加えますと、これまでは多額の繰越欠損金がある法人を引き継いで、節税をするという手もありましたが、18年度税制改正によって、これはできなくなっています。
最後に、休眠会社を使った方が逆に新規に設立するよりも得するケースについて簡単に説明します。
まず考えられるメリットは消費税に関してです。資本金1,000万円以上の会社であれば、新規設立すると設立した年から消費税の課税業者になり、最初の決算から納税する必要がでてきます。ところが基準期間が休眠中で売上ゼロであれば、売上が例え何億あろうともすぐには課税事業者とはならず、少なくても2期分は納税義務が生じないのです。
そのほかに考えられるのは、法人設立日が古いという事実を重視したい場合です。簡単に言うと、引き継いだばかりでも、その会社が20年前に設立した会社であれば、対外的に創業20年とか謳うことができるということです。